独自の知識と経験から"効くモノを一緒に探す”施術が評判に

ツボや経絡に興味を持ち、それらを活かして独自のヘッドスパ技術を構築していった辻オーナー。「PULA」をオープンするにあたっては整体学校にも通った。よいと感じるもの、必要だと感じるものを熱心に学び、既存のサービスなどにうまく組み合わせて採り入れていく独自の感覚はサロンの随所に表れている。

「PULA」では、自ら使ってみて本当によいと思える商材だけを選び抜いて置いているため、特定のディーラーに頼り切った仕入れはしていない。個別にメーカーと交渉し、直接仕入れているものも多いのだ。

「以前のサロンで店長まで勤めていたからわかりますが、仕入れには値段などいろいろなしがらみがあって、もし気に入ってもいない商品を売らなくてはならなければ売らされ感もあるでしょう。自分が独立するならそういったしがらみがない状態でやろうと考えていましたから、こんな小さなサロンでも契約会社は5、6社あるんですよ」と辻オーナー。自ら選んだ商材は、お奨めするにも言葉にパワーや魂がこもってくるという。

「PULA」では、スコープを使って頭皮の状態を判断したうえで、必要に応じて自らの経験知で選んだシャンプー剤などをお奨めしている。育毛促進を目的とした「スカルプコース」と頭皮の臭いの改善を目的とした「頭皮クレンジング重点コース」(各1万4700円)には、初回の料金にシャンプー剤とカウンセリングの料金が含まれているため、けっして押し売り感を与えることなくむしろお得感を感じてもらいながら、店販品を使ってもらうことができるのだ。

また、定期的にサロンに通っていただくなかで、自宅で使っているシャンプー剤の効果を確かめながら、そのお客様の性格やライフスタイルなどに合わせて“効くものを一緒に探していく”というスタンスで施術を行なうため、シャンプー剤は継続的に売れていくという。

辻オーナーは、このシャンプー剤にさらなる付加価値をつけるため、オリジナルのスカルプシャンプーを開発中だ。独自の知識を凝縮した商品になるのはもちろんのこと、「PULA」でしか買えない限定品が、お客様のリピートを促してくれると期待しているのだ。

 

PULA」のお客様には、自身の症状をインターネットで調べつくして育毛サロンに行くしかないと判断したが、数十万円から数百万円という高額な料金に断念せざるを得ず、せめてもの気休めにヘッドスパを受けに来たというお客様もいるという。たしかに「PULA」の施術料金は、育毛サロンに比べれば良心的な価格といえる。

「気休め程度で来店されたお客様には、ご本人が予想もしない効果が出た方もいてとても喜ばれています。うちは30代を中心に予防目的のお客様がほとんどですが、将来、高級育毛サロンに数百万円払うと思えば、投資としては安いですよね」

 ヘッドスパに効果を見いだしてオープンした「PULA」。フタを開けてみれば、ヒーリング目的のお客様は全体の3分の1程度だった。しかしながら、薄毛に悩みネットで調べつくして八方ふさがりで駆け込んできたお客様にとっては、その目的は育毛であったとしても十分にヒーリング効果があるといえるのではないか。

 ネットの普及でたくさんの情報が簡単に手に入るようになった反面、手に入れた情報に振り回され、情報自体がストレスの原因になることもある。そこに、「あなたに効果のあるものを一緒に探します」と言ってくれる人が現れたら、これほど頼もしいものはない。「もう1人で悩まなくていい」という開放感は、髪や頭皮に悩みを抱える多くの人々に精神的な癒しを与えてくれるはずだ。

新規集客は口コミとウェブサイトだけ、プロとしての情報収集と発信が信頼を築く

 

「PULA」はオープン以来、クーポン情報誌への掲載やチラシのポスティングなどは行なわず、既存客の口コミによる紹介と公式ウェブサイトだけで集客をはかってきた。また、新規客への割引は一切しないばかりか、紹介の特典さえも用意していないという。

「うちは、業界ではよくある新規割引はありません。飲食店だと、常連さんに裏メニューなどを提供して特別扱いしますけど、一見さんにあれこれサービスする店はないですよね? 割引や特典目当ての新規客はリピートにつながりません。ヘッドスパは、実感できる効果と技術の裏づけがあれば、口コミで新規客が集まってくれます」

辻オーナーは、新規客より既存客に還元したいと来店回数に応じてビジター、メンバー、プラチナの3段階で料金が安くなる仕組みをつくっている。強気の料金設定とも思えるが、確実に口コミで新規集客を実現しているのだ。

さらに「PULA」では、公式ウェブサイトを見て来店する新規客も多いという。ネットで検索すると検索結果の上位にサイトが表示されるSEO対策の効果もあるが、この中味がすごいのだ。

たとえば、「知識・効果・Q&A・お声」コーナーでは、ヘッドスパの効果や抜け毛・白髪の起こる仕組みなどをわかりやすく解説し、「お客様の声・症例」コーナーでは、実際にお客様からいただいたメールに対して真摯に回答した内容を掲載しているのだ。髪や頭皮に悩みを抱えてあれこれ調べているうちに、偶然「PULA」のウェブサイトにたどりついた人が見れば、「ここなら私の悩みを受け止めてもらえそう」と思えるようなつくりになっている。

 

独自に培った知識をここまで披露してしまうことに抵抗はないのかとうかがうと、辻オーナーは「お客様の悩みに真剣に向き合う姿勢を理解してもらうための情報提供は惜しみません」と言い切った。プロとして、常に最新の情報を収集して更新し、わかりやすく発信していくことこそ、業界トップのヘッドスパ専門店としての信頼を築く秘訣なのだ。

 

ヘッドスパmenuのスペシャリスト化が理美容室の可能性を広げる

 

オープンから2年が経ち、1人営業でも100万円以上の売上げを確保できるようになった「PULA」では、現在スタッフを1名育成しているところだ。スタッフの雇用は最初から念頭にあったというが、理美容室ではなくヘッドスパ専門店に応募してくる人材の質はどうなのだろうか。

「面接では『シャンプーが好きなんです』と言っていても、よく聞いたらカットデビューに挫折していたという子もいました。国家資格があっても1つのことを成し遂げられなかった人に『PULA』のヘッドスパ技術を習得できるかといえばむずかしいと思います。今育てているのはきちんとカットデビューもして、そのうえでヘッドスパをやりたいと言ってきてくれた子です」

 さらに辻オーナーは、理美容室でヘッドスパに力を入れていくのはよいことだと前置きしつつ、アシスタントに売上げを上げさせることを目的としたヘッドスパには疑問を呈す。

デビュー前のアシスタントはカット技術を覚えるのに精一杯。そこにどんなにすばらしいヘッドスパ技術を教えても、デビューに気を取られている限り中途半端なヘッドスパしか提供できないのではないか。つまり、アシスタントの仕事とされがちなシャンプーとヘッドスパを同一視しては、お客様に心から満足していただけるヘッドスパは提供できないのではないかと考えているのだ。

「僕は、スペシャリスト化していくのがいいと思っています。以前留学していたロンドンでは、スタイリストやカラーリストと呼ばれるスペシャリストがいて、何人かが組んでスタイルをつくっていました。ヘッドスパもスペシャリストを育成すれば、理美容室でもきちんと料金をいただける施術ができるのではないでしょうか」

 

辻オーナーは、理美容室でのヘッドスパの理想的なあり方について独自の見解を述べるとともに、今後はヘッドスパセミナーを行い、ヘッドスパ専門店の起業家たちを育てる事で、プーラ式ヘッドスパを身近なサービスとして波及させていきたいという展望も語ってくれた。そして、大切なのは情報を常にインプットしてアウトプットすることであり、髪と頭皮に関するプロとしての自覚をもってお客様に接していきたいと締め括った。